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最高裁 平成19年7月19日判決(抜粋)
過払金につき、その後に発生する新たな借入債務に充当すること(一連計算)を認めた判例

  1. 原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
    (1) 上告人は,貸金業の規制等に関する法律3条所定の登録を受けて貸金業を営む貸金業者である。
    (2) 上告人は,昭和61年ころから平成16年4月5日までの間,Aに対して金銭を貸し付け,Aから返済を受けるということを繰り返していた。両者の間の平成5年10月25日以降の貸付け(以下r本件各貸付け」という。)及び返済の状況は,第1審判決別紙3のとおりである。本件各貸付けにおいては,元本及び利息制限法1条1項所定の制限利率を超える利率の利息を指定された回数に応じて毎月同額を分割して返済する方法(いわゆる元利均等分割返済方式)によって返済する旨の約定が付されていた。
    (3) 本件各貸付けは,平成15年7月17日の貸付けを除き,いずれも借換えであり,従前の貸付けの約定の返済期間の途中において,従前の貸付金残額と追加貸付金額の合計額を新たな貸付金額とする旨合意した上で,上告人がAに対し新たな貸付金額から従前の貸付金残額を控除した額の金員(追加貸付金)を交付し,それによって従前の貸付金残金がすべて返済されたものとして取り扱うというものであった。上記借換えの際には,書類上は,別個の貸付けとして借入申込書,契約書,領収書等が作成されているが,いずれの際も,Aが上告人の店頭に出向き,即時書面審査の上,上記のとおり追加貸付金が交付されていた。上告人は,Aに対し,約定どおりの分割返済が6回程度行われると借換えを勧めていた。
    (4) Aは,平成15年4月2日に,いったん,それ以前の借入れに係る債務を完済するための返済をしたが,その約3か月後である同年7月17日には,従前の貸付けと同様の方法と貸付条件で貸付けがされ,平成16年1月6日,従前の貸付けと同様の借換えがされ,その後同年4月5日まで元本及び利息の分割返済が重ねられた。
    (5) Aは平成16年7月28日に破産宣告を受け,被上告人が破産管財人に選任された。
  2. 本件は,被上告人が,上告人に対し,Aが破産宣告前に上告人との間の金銭消費貸借契約に基づいてした弁済につき,利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分(以下r制限超過部分」という。)を元本に充当すると過払金が発生しているとして,不当利得返還請求権に基づき過払金の返還等を求める事案である。
    原審は,本件各貸付けは1個の連続した貸付取引であり,その元利充当計算は各取引を一連のものとして通算してすべきであって,Aが支払った制限超過部分が元本に充当された結果過払金が発生し,その後に新たな貸付けに係る債務が発生した場合であっても,当該過払金は新たな貸付けに係る債務に充当されるものと解すべきであると判断して,被上告人の上告人に対する不当利得返還請求を一部認容した。
    所論は,過払金の充当に関する原審の上記判断の法令違反をいうものである。
  3. 前記事実関係によれば,本件各貸付けは,平成15年7月17日の貸付けを除き,従前の貸付けの切替え及び貸増しとして,長年にわたり同様の方法で反復継続して行われていたものであり,同日の貸付けも,前回の返済から期間的に接着し,前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものであるというのであるから,本件各貸付けを1個の連続した貸付取引であるとした原審の認定判断は相当である。
    そして,本件各貸付けのような1個の連続した貸付取引においては,当事者は,一つの貸付けを行う際に,切替え及び貸増しのための次の貸付けを行うことを想定しているのであり,複数の権利関係が発生するような事態が生ずることを望まないのが通常であることに照らしても,制限超過部分を元本に充当した結果,過払金が発生した場合には,その後に発生する新たな借入金債務に充当することを合意しているものと解するのが合理的である。
    上記のように,本件各貸付けが1個の連続した貸付取引である以上,本件各貸付けに係る上告人とAとの間の金銭消費貸借契約も,本件各貸付けに基づく借入金債務について制限超過部分を元本に充当し過払金が発生した場合には,当該過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解するのが相当である。
    原審の前記判断は,これと同旨をいうものとして,是認することができる。論旨は採用することができない。
     


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