●利用規約等(定型約款)の変更

利用規約等の定型約款の変更するためには
定型約款を変更したい場合には、以下のどちらかの要件を満たせば、相手方の合意なく、変更することが認められるようになりました。

●定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するとき(要件1)
●定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものであるとき。(要件2)
以下、要件2について解説します。
変更が契約の目的に反しないこと
要件2においては、まず、変更が契約をした目的に反しないことが必要です。この契約目的とは、相手方の主観的な意図を意味するものではなく、契約の両当事者で共有された当該契約の目的を意味します。
変更に係る諸事情に照らして変更が合理的なものであること
次に、要件2においては、変更に係る諸事情に照らして変更が合理的なものであることも要求されています。
ここでの「合理的」とは定型約款準備者にとってそのような変更をすることが合理的であるかどうかではなく、客観的にみて、当該変更が合理的であるといえるかどうかが問題となります。また、定型約款の変更が、積極的に合理的であることが要求されます。単に変更後の内容が不合理とはいえない、という消極的な理由だけでは、変更後の条項が有効であるということにはなりません。
合理性の有無の判断に当たっての考慮事情
合理性の有無の判断に当たっての考慮事情として、法律上、
① 変更の必要性
② 変更後の内容の相当性
③ この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容その他の変更に係る事情
が挙げられています。
変更の必要性

「変更の必要性」としては、定型約款準備者においてなぜ定型約款の変更を行う必要が生じたかといったことに加えて、個別の同意を得ることが困難です事情も考慮されます。変更の必要の例としては、法令変更に伴い約款の変更が必要になる場合や、経済状況の変化によって料金やサービス内容の変更が必要となったというような場合です。
変更後の内容の相当
「変更後の内容の相当性」とは、変更後の条項の内容が適切であるが考慮されます。変更内容が中心的なサービス内容や対価など、相手方に取って重大である場合には、変更後の内容の相当性は厳格に判断されます。
この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無

「この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無」とは、合理性の判断において、定型約款に民法の規定によって定型約款準備者が定型約款を一方的に変更することがあり得る旨の条項が設けられているかどうかが考慮されるということです。
すなわち、変更条項において、定型約款を一方的に変更するための要件や手続が定められていた場合に、実際に行われた変更がその定めの内容を充足するものであったことを、定型約款の変更が合理的であることを肯定する方向の事情として考慮するということになります。
もっとも、単に定型約款を変更することがある旨を規定しておくのみでは、合理性を肯定する事情として考慮することは困難であるとされています。
なお、変更条項を定めておくことは定型約款の変更の必要条件とはされておらず、変更条項がなくとも定型約款の変更が認められる余地があります。
その他の事情
「その他の事情」としては、変更によって相手方が受ける不利益の程度や性質、任意解除権の付与、猶予期間の設定などの相手方の不利益を軽減させる措置がとられているか等が考慮されます。
例えば、変更後の契約内容に拘朿されることを望まない相手方に対して契約を解除する権利を付与したことや(なお、解除権を付与しつつ、高額な違約金を支払う必要があるなどとしていた場合には、不利益の軽減の程度は低く、変更は認められにくくなるものと考えられます。)、変更の効力が発生するまでに猶予期間を設けることなどは、相手方の不利益を軽減する措置と評価することができます。
手続的要件
定型約款の手続的要件として
●定型約款準備者は、定型約款変更の効力発生時期を定め
かつ
●定型約款を変更する旨及び変更後の定型約款の内容並びにその効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければなりません。
そして、上記要件2の場合には、それを効力発生時期が到来するまでにしなければなりません。
 

 

2020年04月08日