●SES契約と準委任契約、派遣契約

「SES契約」とは

 

SES契約(システムエンジニアリングサービス契約)とは、IT業界における業務委託契約の一種です。システムエンジニアが行うシステム開発・保守・運用などに関わる労働が、契約の対象となります。
エンジニアは委託事業者である会社へ常駐し、委託事業者はエンジニアの作業時間に対して賃金を支払うという形態です。委託事業者と受託事業者間のSES契約は、法的には通常、準委任契約にあたるものです。

準委任契約では報酬は労働に対して支払われ、成果物を完成させる義務については問われません。つまり、SES契約で支払われる賃金は技術者の作業時間に対して支払われるものであり、システムの完成などは支払い対象とはならないため、業務の完遂を求められることはありません。
ちなみに請負契約とは、エンジニアが委託事業者の依頼でシステムを作成して納品し、納品物に対して注文者が対価を支払うものをいいます。準委任契約とは異なるものです。

準委任契約である「SES契約」と「派遣契約」との違い

 

① 準委任契約であるSES契約と派遣契約は似ているように見えますが、指揮命令系統や労務管理、業務処理の独立性に大きな違いがあります。
まず、労働者派遣の場合、派遣労働者は、派遣先の直接雇用労働者と同様、派遣先から業務の指揮命令を直接受けることになります。
他方、準委任契約の場合、労働者派遣と異なり、労働者は、自己を雇用する受託事業者からのみ指揮命令を受けます。すなわち、受託事業者の労働者は、受託事業者の一員として、受託事業者の指揮命令のもと受託業務を行います。
委託事業者は、受託事業者に対し、委託業務について指示することはできますが、受託事業者の労働者に対しては直接指揮命令できない、ということになります。したがって、委託事業者が受託事業者に指示や要請を出す場合、受託事業者に対して行う必要があります。


② また、労務管理につき、受託事業者が、委託事業者から独立して行っているか否かも考慮されます。準委任契約と判断されるためには、具体的には、受託事業者が、業務の遂行に関する指示・評価、労働時間の管理、秩序維持・配置転換の決定等につき、自ら行うことが原則として必要とされています。


③ さらに準委任契約と判断されるためには、業務処理の独立性という観点からは、以下の点も考慮されます。
まず、受託事業者が、自己責任により資金を調達・支弁し、自己の有する規格・技術に基づいて業務処理することです。さらに、受託事業者が、事業主としての法律上の責任を負っていることも重要と考えられます。また、受託事業者は、器材等を自ら調達することが本来の業務のあり方です。例えば、委託事業者の設備や機器を使用する場合、SES契約とは別に賃貸借契約を結ぶなどの対応が必要となると考えられます

2020年03月12日