借地契約には,よく,無断増改築を禁止する特約が付されています。では,ここにいう,「増築」,「改築」とはどのようなものでしょうか?これに関する参考判例をご紹介します。
-
平成19年3月28日東京地方裁判所判決の抜粋
- 「増築」とは,既存の建築物を建て増す行為を,「改築」とは従前の建築物を取り壊して同じ場所に建物を建て直すあるいは建物としての同一性が失われる程度に工作を加える行為をいうものと解され,建物の通常の用法に従った維持保存に必要な程度の修繕は,本件増改築禁止特約にいう増改築には該当しないというべきである。 これを本件についてみるに,前記認定事実のとおり,本件工事においては,基礎コンクリートが全面的に打ち直され,土台や柱,間柱等,その躯体部分に重要な変更が加えられているのみならず,床および内壁についての全面的な更新であり,外壁の大部分および屋根の一部についても更新がなされていることからすると,建物の同一性は失われたというべきであって,維持保存に必要な程度の修繕を超えているというべきであり,増改築禁止特約にいうところの「改築」に該当すると認めるのが相当である。