精神病と解雇の問題に関しては、平成16年3月26日の東京地方裁判所の裁判例に次のようなものがあります。
事 例
被告信用基金(承継前の共済基金)に雇用されていた原告が神経症による診断病名のため病気休職を命じられ、その後休職期間満了を理由に解雇されたことを不服として休職命令の無効及び雇用契約上の地位の確認を求めた事案
裁判所の判断
原告の休職前の勤務状況、休職に至る経緯、休職中の原告の状況、原告を診察してきた医師の意見及び被告における業務内容等を参照して、医師は休職前の業務(機械的単純作業)へは一定期間後であれば復職可能であるとするが、信用基金の職員が本来通常行うべき職務を遂行し得る状態にないことは明らかであり、他の軽微な職務に配転できる具体的可能性もないことを考慮して、原告が復職を認める状況にまでは回復していなかったことを認定し、被告の解雇が濫用であるとはいえない、としています。
これを見ると、例え社員が精神病に罹っているという場合にも、それだけでは解雇は有効ではなく、ある程度ハードルの高い要件が必要であると判断せざるを得ません。
2019年01月29日