損害賠償請求権
契約不適合責任の効果について損害賠償については債務不履行の一般規律によります。改正前民法における信頼利益とされていた損害賠償の種類は、履行利益(契約上の債務が完全に履行されることによって債権者が受ける利益)となりました。
なお、契約不適合が「契約その他債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰すことができない事由」によるものであった場合(債務者の無過失という意味ではありません。)には、債務者は損害賠償責任を免れます(民法415条1項ただし書)。
解除権
債務不履行を理由とする解除ができます。債務者の帰責事由は必要とされていません(民法564条、541条、542条)。なお、契約不適合が債権者の帰責事由による場合には、解除はできません。
解除には催告解除と無催告解除があります。
催告解除を行うためには、履行の追完の催告が必要となります(民法541条)。そして、追完がされない場合、債務の不履行がその契約及び社会通念に照らして軽微であるときを除いて解除できることとなりました 。催告解除の要件として「契約をした目的を達することができない」ことが求められていません。
無催告解除は、民法542条1項に定める場合に認められます。
追完請求権(修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)
追完請求もできます(民法562条)。債務者の帰責事由は必要とされていません。なお、契約不適合が債権者の帰責事由による場合には、追完請求はできないこととされています(同条2項)。
追完の方法は、第一次的には、債権者が選択できることとされています(同条1項本文)が、債権者に不相当な負担を課するものでないときは、債務者は、債権者が請求した方法と異なる方法で追完することが可能です(同条1項ただし書)。
代金減額請求権
代金減額請求もできます(民法563条)。債務者の帰責事由は必要とされていません。なお、契約不適合が債権者の帰責事由による場合には、代金減額請求はできません。
代金減額請求は、履行の追完を催告し、催告期間内に履行の追完がない場合にすることができます(同条1項)。ただし、民法563条2項各号に該当する場合には、催告は不要です。
2020年04月16日