●民法の規定する保佐人の同意権

〔民法第13条1項に定められている保佐人の同意を要する行為とその具体例〕

1号  元本を領収し,又は利用すること

・預貯金の払い戻し ・貸したお金を返してもらうこと
・お金を貸すこと(利息の定めがある場合)


2号  借財又は保証をすること

・借金をすること(金銭消費貸借契約の締結)
・保証人になること(債務保証契約の締結)

3号  不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること

・不動産の売却 ・抵当権設定 ・クレジット契約の締結
・不動産の賃貸借契約の締結(民法第602条に定める期間を超えない賃貸借を締結することは除く)及び解除
・お金を貸すこと(利息の定めがない場合)
・通信販売(インターネット取引を含む)及び訪問販売等による契約の締結
・元本が保証されない取引(先物取引,株式の購入など)

4号  訴訟行為をすること

・民事訴訟において原告として訴訟を遂行する一切の行為
注意
※相手方が提起した訴訟への応訴や,離婚・認知などの裁判(人事訴訟)は,保佐人の同意がなくてもすることができます。

5号  贈与,和解又は仲裁合意をすること
注意
※贈与を受ける場合は,保佐人の同意は不要です。

6号  相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること
注意
※被保佐人が遺産分割協議をするには,保佐人の同意が必要です。

7号  贈与の申込みを拒絶し,遺贈を放棄し,負担付贈与の申込みを承諾し,又は負担付遺贈を承認すること

8号  新築,改築,増築又は大修繕をすること

・住居等の新築,改築,増築または大修理を目的とする法律行為

9号  民法第602条に定める期間を超える賃貸借をすること

・民法第602条には,
①樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借は10年
②その他の土地の賃貸借は5年
③建物の賃貸借は3年
④動産の賃貸借は6か月
と定められています。
注意
※賃貸および賃借のいずれの場合においても,これらの期間を超える契約をするには,3号により保佐人の同意が必要となります。

10号 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。

2020年03月12日